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Yunoha
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金持ち沖田とスリ土方の前文。出会い編。
今週末はこれを書こうと思ってたけど出来そうにないのでメモ! 自分確かめ用です。

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 街頭の横に設けられた手摺りに凭れかかって、行き交う人を眺めていた。
 なかなか"待ち人"が通りかからなくて、2組ほどの女が「もしよかったらお茶でも」と声を掛けてくるぐらい、俺は待ちぼうけを食らって暇そうに見えるらしい。

 「人を待っている」。そう誘いを断ると、暫く俺を観察した上で誘いを掛けたのだろう、女たちは「待っても来ないじゃない。すっぽかされたのよ」と散々なことを言ってくれたが、そもそも俺は待ち合わせをしているわけではない。
 それは流れの中で唐突に現れる。互いに時間を決めているわけではなく俺が一方的に待っているだけであって、だからこその"待ち人"なのだ。

(とはいってもなかなか居ないもんだな)

先程から絶え間なく左から右へ、右から左へ流れる人の波を見ているが、食指を動かす"待ち人"はなかなか姿を現さない。
今日は諦めて帰るかと辺りを見回したちょうどその時、"待ち人"は居た。

昼酒だろうか、まだ夕方だと言うのにふらふらと千鳥足であっちこっちへと歩いている男が居て、暫く待っているとアルコールのにおいを漂わせながら虚ろな目で俺の前を通り過ぎていく。
前後不確定で連れも居ないご様子。
ちょうど偶然めいて男の定期券がポトリと落ちて、これ幸いと口角を上げると俺はそれを拾い男を追い掛けた。

「すいません。これ落としましたよ」
「はいぃ? あ、ああ――! 落としたか。ありがとう」

 ヘラヘラと笑いながら定期券を受け取った男の体がフラりと揺れる。
 咄嗟に背中に手を添えると男は噛み締めるように笑って、優しいなあと何度も何度も頷いた。
 大丈夫、大丈夫と言いながら男はまた千鳥足で歩いていく。暫くそれを見守ってからふと息をついた。

(優しい、ねぇ)

 男の背を支えた手をポケットに突っ込んで財布を取り出す。
 あまり期待はしていなかったが、薄いそれを見て、やっぱり期待は出来そうにないと改めて思う。
 一応中身を確認するが、"待ち人"から擦った財布には予想通り大した額は入っていなかった。酒代に消えたのだろう、浮かれた陽気さの裏に男のやりきれない思いが見え隠れしたような気がして、なんとも言えない気分になる。

 手軽さに託つけてリスクの低い相手を選んだのがいけなかった。
 失敗だと内心で呟き、男を追い掛けた。声を掛け、「これも落としましたよ」と財布を見せると男は不思議そうな顔をして尻ポケットを探る。そしてそれがないのに気付くと、おおとまた声を上げ、すまんなぁとなんの疑いも持たずに財布を受け取り波の中へ戻っていった。
 よろよろと歩く男の背を見つめ、さてどうしようかと、俺はまた"待ち状態"に戻る。
 ここで切り上げてもよかったのだが、負けず嫌いの俺は何も収穫がないまま帰ることに気が進まなかった。まるで「無駄な時間を過ごしたね」と誰かに笑われている気がして、誰か居ないのかと"待ち人"を探す。
 そんな俺の目に、それは飛び込んできた。

 少し歩いた先にある店先で携帯を弄っている男が居る。
 俺より年下の学生で、人形のような顔をしていた。
 風にさらりと流れる亜麻色の髪、空を切り取ったような青い目、少年の面影をそのまま大きくしたようなあどけない顔は見るものを惹き付けてやまない。
 そして注目する点はソイツが着ている制服だ。
 金持ちばかりが集う学校の制服はそれだけでもブランドもので、襟元で煌きらびやかな校章が存在を主張するようにキラリと光っている。
 童顔のソイツには似合うというより着ることで余計に幼さが目立っているが、まあ似合っていようがなかろうがあんなもの、自分が金持ちだと振り撒いて歩いているようなものだ。

(ちょうどいい)

 決めた。
 コイツにしよう。
 格好な"待ち人"に、俺は狙いを定めた。早足でソイツの元へと向かう。
 対象へ意識を向けてはいけない。仕掛けるその瞬間まで意識を外し、ぶつかって今初めてその存在に気が付いたという顔をするのだ。ぶつかると、

「悪い」

 そう言って体を離す――その瞬間財布を持った手ごと引く――それはいつも通りのやり方だった。俺に落ち度は何もない。
 それなのに、

「スリはいけないと思いやせん?」

 体を離す間際、手をガシッと掴まれて俺は絶句する。
 俺の手にはしっかりと掴んだソイツの財布があって、言い逃れが出来ない状況。
 しかしそれよりも何故バレたのかが分からない。
 心音が不規則な音を奏でる。

 男にしては大きな空色の瞳がこっちを見上げて人形の面をした悪魔はにやりと嫌な笑みを見せた。

 現 行 犯 逮 捕 。

 声には出さず口だけを動かしてから笑う、綺麗な顔をしているだけあって妙にそれが印象的で、脳内に焼き付いて離れない。
 それが沖田総悟と俺の出会いだった。





これに主文が付くのですが、まだ何も考えていないという・・・。
どうしようかなぁ。

 

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