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Yunoha
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文字全般をちょっと変えてみました。
前々から小さいなぁと思っていたので、(私の視力的にも読み辛くなってきたので…)文字のフォントから行間、大きさを変更してみました。
メニューページはバランスに違和感があるけど、文章は前より読みやすくなったかなぁと思います。どうでしょうか。

全部は見返してないので、変なところがあったり、バランスが崩れていたり、環境によっては「余計に読み辛くなった!」もあるかもなので、何かございましたらお気軽にご連絡ください。

あとファイルの中に文章が残っていたので、置いておきます。確かコインランドリーに毛布を洗いに行って、あったかい! って感動した時に書いた話です。なつかしい。

いつもの如く内容がない日常話。
土沖が同棲しているのか遊びに来ているのかそこら辺は曖昧ですが、くっついてはいない現代パロです。土方→沖田の、冬の話。
さらーっと暇つぶし程度にどうぞー。


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 寒い寒いと喚くから、じゃあ押し入れの毛布でも洗ってこいよ、と言ったら総悟は本当に毛布を抱えて近くのコインランドリーへと出掛けていった。
 出不精のアイツが率先して出て行く姿に、よっぽど寒かったんだなぁと呆れたのは今から2時間前のことだ。毛布を抱えた総悟は、一向に帰ってこない。俺は時計と手元の課題をちらちらと落ち着きなく見ていたが、とうとう限界が出来なくなって家を飛び出した。
 ガチャガチャと慌ただしく鍵を閉めながら、靴を履く。
 何故帰ってこないのだろうか。コインランドリーは歩いてすぐだし、1時間程あれば終わるはずだ。また何か厄介事でも仕出かしているのかと気が気じゃなくて、踏み出した足が自然と速足になる。

 コインランドリーには5分程で着いた。
 自動ドアを抜けて中に入る。小さなフロアにドラム型の洗濯機や乾燥機が数台並んでいて、ガタゴトと洗濯機の稼働音と空調とだけがそっと部屋の中で響いていた。
 備え付けの長椅子には誰も居ない。
 そう広くない部屋の中を見回すと、窓に沿って置かれた端っこの椅子に座っている総悟の丸い頭を見つけた。洗いたての毛布を抱えて、うつらうつら舟を漕いでいる。
 総悟の姿を認めた瞬間、ふっと息が出た。何やってんだよ、という呆れと安堵。

(安堵ってなんだよ)

 総悟の傍へと近寄って、亜麻色の頭を小突く。

「起きろ、総悟」

 総悟はゆっくり瞼を持ち上げると、寝起きという言葉そのままにぼんやりと宙を眺めた。そして視線を俺に移すと、二度瞬く。くあっと欠伸を噛み殺した。

「何でィ土方さんかよ。せっかく人が気持ちよく寝てたっつーのに」
「こんなところで寝てんじゃねぇよ。寝るなら帰ってからにしろ」
「だって気持ちいいんですよ。仕方ねェじゃないですか」

 総悟の隣に座ると、窓と洗濯機の間に設置された短い椅子はそれだけでいっぱいになった。
 隣で総悟が抱えた毛布に顔を埋める。すりすりと顔を動かして、それがあまりにも気持ち良さそうで、興味半分、面白くなさ半分で俺もそれに触ってみた。
 洗いたての毛布は柔らかくふわふわとしていた。まるで陽だまりを閉じ込めたように温かい。気持ち良さに、思わずほぅっと息が出る。
 「毛布がぐるぐる回ってンの、見てても飽きなくて」ぼんやりとしたまま、総悟が幼い声で楽しそうに言った。

「ぼんやりとずっとそうしてたら次に乾燥でしょ。ぺちゃんこの布団がふかふかになっていくの、結構面白かったです。取り出したら温かくて気持ちよくて、つい眠たくなっちまった。土方さん。コインランドリーって俺初めて使いやしたけど、すごいんですね。現代技術の進化に俺ァ感謝しやす」
「ふっ。大袈裟だな」

 触ったただけで気持ちいいものを抱えているのだ、それは身を委ねて眠たくもなるだろう。しかもここは窓に面しているだけあって、陽の光が入り込んで温かい。
 未だに毛布を抱えた総悟はやっぱりまだ寝ぼけていて、ふふっと笑い珍しくご機嫌だ。もし総悟が猫なら、ゴロゴロと喉を鳴らしているだろう。

 俺はそんな総悟に呆れつつも、滅多に見れない総悟の表情に釘付けだった。ガラスひとつ隔てた向こう側の寒さなんて忘れて、洗濯機や空調の音、ふかふかの布団、目の前の総悟、それだけが全てになる。
 総悟がちらりとこっちを見て、何を思ったかふわっと柔らかな笑みを浮かべた。完璧に不意打ちで、可愛くて、そっぽを向いて俺は激しく動く動悸を落ち着かせる。なんでコイツはこんなにも簡単に爆弾を投げてくるんだといっそ恨めしい気分だった。

(つーか、その抱えてる毛布、俺のだろ)

 自分の毛布と間違えたのか、総悟は白い手を回してギュッと俺の毛布を抱きしめている。抱きしめるなら俺にしろよ、なんて思いつつため息ひとつ零すと、トンっと右肩に重みを感じた。
 見やれば毛布を抱えた総悟が、性懲りもなくまた眠りこけている。人の布団抱えて、人の肩に寄りかかって、いい御身分だと文句も垂れたい。

(あーあ)

 動けない上に起こすのもなんだか忍びなくて、誰も居ないことを良いことに思わず呻る。頬に総悟の髪があたってくすぐったい。隣の呼吸が俺の心拍を乱す。抱きしめたい衝動を抑えるので俺は必死だった。そっとだけ、凭れている頭に頬を寄せてみる。

「ああ、なるほど」

 亜麻色の頭が熱を吸収していた。陽の当たる椅子にずっと座っていたから当たり前だ。恋人の真似、みたいなことがやりたくて、今度はしっかりと頬をくっつけてみる。すぐ離れるつもりが、その心地よさになんとも離れがたくなってしまった。寒い季節になった今、確かにこの春を思わす温かさは手放し難い。

 だんだんと近づいてくる眠気に、俺は潔く抵抗をやめた。仕返しとばかりに思いっきり体重をかけて、目を閉じる。冬なのに、どこからか甘い花のにおいがした。

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